小鳥遊夏海（たかなしなつみ）を自邸（じてい）の書生（しょせい）とし、存分に絵を学ぶ機会を与えた海棠糺（かいどうただす）は、外交官として妻・冴永（さえ）と共にイギリスに旅立った。代わりに帰国したのは糺の弟・秋穂（あきほ）…冴永が日本に送ると言っていた大きな洋犬と一緒だった。秋穂はかつて、骨董(こっとう)商の息子・日景兵部（ひかげひょうぶ）に夢中になった挙げ句、留学を命じられたという過去がある。今は夏海と恋仲である兵部は、かなり不安だ。その頃、あちこちの屋敷で、骨董品が偽物（にせもの）とすり替えられる事件が起きており、日景骨董もその渦中（かちゅう）に！　海棠家にも骨董品が…恋人の身を案ずる兵部だが、夏海は誘拐（ゆうかい）されてしまう！　しかし犯人も夏海の無垢（むく）な心には勝てなかった!?