商品紹介
数多くの対談をこなした作家・中上健次。文学者、女優、アーティスト、音楽家……、96の“危険”な対談&座談を完全収録。
1980年までに編年体の「全対話」を2冊刊行した中上健次は、数多くの対談をこなした作家として知られ、徹底的に時代と相渉る作家の試行錯誤の跡そのものであった。
文学者だけではなく、ある時は女優と、ある時はアーティストと、またある時は音楽家と作家は飽くことなく語り続けた。そこには、外交辞令のかけらもない。
中上的な愛嬌とサービス精神に対話者は瞬く間に打ち解け、中上の発するオーラの圏内に引き込まれてしまう。それは、石原慎太郎だろうと、蓮實重彦だろうと同じである。
80年代文学論から風土論、安吾論、セリーヌ論まで、中上の射程はどこまでも延びてゆく。黒田征太郎を相手に、「俺がいちばん危険だ」と語るこの物騒な作家は、だが誰よりもデリケートな感性を、そこかしこで披瀝もしている。高橋三千綱に対して「お前の小説を読んでると、こいつはやっぱり戦争がほしいんだなっていう感じがする」と語るとき、彼は「戦争を知らない子供たち」の一人として、その世代意識の死角を鋭く突いていたのだ。
だから、放たれた矢が自身に返って来ることを作家が意識しなかったはずはなかった。やはりどこまでも中上は、危険な男なのである。
【ご注意】※お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。
※この作品にはカラー写真が含まれます。
1980年までに編年体の「全対話」を2冊刊行した中上健次は、数多くの対談をこなした作家として知られ、徹底的に時代と相渉る作家の試行錯誤の跡そのものであった。
文学者だけではなく、ある時は女優と、ある時はアーティストと、またある時は音楽家と作家は飽くことなく語り続けた。そこには、外交辞令のかけらもない。
中上的な愛嬌とサービス精神に対話者は瞬く間に打ち解け、中上の発するオーラの圏内に引き込まれてしまう。それは、石原慎太郎だろうと、蓮實重彦だろうと同じである。
80年代文学論から風土論、安吾論、セリーヌ論まで、中上の射程はどこまでも延びてゆく。黒田征太郎を相手に、「俺がいちばん危険だ」と語るこの物騒な作家は、だが誰よりもデリケートな感性を、そこかしこで披瀝もしている。高橋三千綱に対して「お前の小説を読んでると、こいつはやっぱり戦争がほしいんだなっていう感じがする」と語るとき、彼は「戦争を知らない子供たち」の一人として、その世代意識の死角を鋭く突いていたのだ。
だから、放たれた矢が自身に返って来ることを作家が意識しなかったはずはなかった。やはりどこまでも中上は、危険な男なのである。
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