優しさを詰め込んだおにぎり、ふんわりと包み込んでくれる越後湯沢の風景。雪柳旅館の出会いは人と人との縁を静かに紡いでいく。
仲居として雪柳旅館で働いて一年が経とうとする朱里のもとに、東京から妹を案じた姉・汐里がやってくる。旅先で偶然出会った男性との思いがけない再会に心揺れる姉の姿を見守りながら、朱里は“ご縁”の不思議さを実感していく。さらに、朱里をずっと気に掛けてくれる前職での仕事仲間の珠紀や、進路に悩む女子大生、昔食べたおにぎりの味を求めてやってきた留学生、一年の感謝と絆を深めようと足を運んでくれる常連の夫婦――そんな多彩な人々との出会いを通して、朱里自身もまた、過去と向き合いながら前に進みはじめる。そして、そのそばにはいつも、ぶっきらぼうながら寄り添ってくれる若旦那・壮真の存在があった。気づけばふたりの距離にも、少しずつ変化が──と思った矢先、壮真の“元カノ”が雪柳旅館を訪れて……。移りゆく越後の四季と、やさしさの詰まったおにぎりが、人と人との縁をそっと紡いでいく『おにぎりはいかがですか？』第二弾。