商品紹介
「西洋の衝撃」に応え、近代化を進めたタイ。その基盤は実は近世に形成されていたのではないか。「停滞の近世」のイメージを再考。
アユタヤの滅亡と、それを受け継いだラタナコーシン朝の成立、そののちは無変化、あるいは衰退。王朝の交替をのぞけば、その停滞的なイメージは同時代の日本や中国、朝鮮のそれと似ているのかもしれない。そして蓄積された問題を一掃して国家を一新したのが名君五世王であったのだ、と。
しかしである。実は、このような歴史像は五世王などの改革当事者たちが描いたところが少なくない。彼らがそれ以前を否定的に描いたのは当然であり、我々はその歴史像を全面的に信用することはできない。また、このような歴史像では、何の下地もないにもかかわらず、一九世紀末に強力な王権をいただく官僚制的な中央集権国家という、それまでとは正反対の国家へと突然変貌したということになる。しかし、そんなことがありえるのだろうか。
むしろ、なぜ近代シャムがこのような政治体制をそなえるに至ったのかを、近世から解き明かす必要があるのではないか。そのためには、おおむね近世末期にあたるラタナコーシン朝前期(一七八二─一八七三年)を、近代人の言説によらず、同時代に視座を置いて見直さなければならない。(本文より抜粋)
【目次】
はじめに
一 ラタナコーシン朝(1782年─)の成立と展開
1 ラタナコーシン朝の成立
2 王朝政府と地方統治
3 国書をやり取りする君主たち──外交関係の形成
4 ラタナコーシン朝の変容
5 大臣たちの履歴──出世コースの変化とブンナーク家の限界
二 ラーマ三世王時代(1824―51年)の文書システムと政治
1 増える行政文書
2 文書に基づく行政──上申文書の処理
3 文書の起草と発給の流れ──命令文書の発給
4 文書処理の担い手──実務官僚の上昇
5 三世王時代の政治構造──イギリス使節ブルックの条約改訂交渉
6 「王は王としか文書を交わさない」──文書システムの論理
三 文書史料が語るラーマ四世王モンクット時代(1851―68年)の政治
1 四世王モンクットとその時代
2 政治に意欲を燃やす四世王
3 親政を目指す四世王──宸筆と上奏文
4 四世王と官僚たち──カンボジア情勢をめぐって
5 チャオプラヤー・シースリヤウォンの台頭と官僚たちの識見
おわりに
注
参考文献
あとがき
【著者】
川口洋史
名古屋大学大学院文学研究科東洋史学専門博士後期課程満期退学。博士(歴史学)。
現在、名古屋大学大学院文学研究科博士研究員。愛知大学、名古屋外国語大学非常勤講師。
主な論文に、「ラタナコーシン朝前期における文書処理システム」(『史林』89巻6号)、「ラタナコーシン朝四世王モンクット時代シャムにおける文書処理システムと王権」(『名古屋大学東洋史研究報告』34号)がある。(2014年現在)
アユタヤの滅亡と、それを受け継いだラタナコーシン朝の成立、そののちは無変化、あるいは衰退。王朝の交替をのぞけば、その停滞的なイメージは同時代の日本や中国、朝鮮のそれと似ているのかもしれない。そして蓄積された問題を一掃して国家を一新したのが名君五世王であったのだ、と。
しかしである。実は、このような歴史像は五世王などの改革当事者たちが描いたところが少なくない。彼らがそれ以前を否定的に描いたのは当然であり、我々はその歴史像を全面的に信用することはできない。また、このような歴史像では、何の下地もないにもかかわらず、一九世紀末に強力な王権をいただく官僚制的な中央集権国家という、それまでとは正反対の国家へと突然変貌したということになる。しかし、そんなことがありえるのだろうか。
むしろ、なぜ近代シャムがこのような政治体制をそなえるに至ったのかを、近世から解き明かす必要があるのではないか。そのためには、おおむね近世末期にあたるラタナコーシン朝前期(一七八二─一八七三年)を、近代人の言説によらず、同時代に視座を置いて見直さなければならない。(本文より抜粋)
【目次】
はじめに
一 ラタナコーシン朝(1782年─)の成立と展開
1 ラタナコーシン朝の成立
2 王朝政府と地方統治
3 国書をやり取りする君主たち──外交関係の形成
4 ラタナコーシン朝の変容
5 大臣たちの履歴──出世コースの変化とブンナーク家の限界
二 ラーマ三世王時代(1824―51年)の文書システムと政治
1 増える行政文書
2 文書に基づく行政──上申文書の処理
3 文書の起草と発給の流れ──命令文書の発給
4 文書処理の担い手──実務官僚の上昇
5 三世王時代の政治構造──イギリス使節ブルックの条約改訂交渉
6 「王は王としか文書を交わさない」──文書システムの論理
三 文書史料が語るラーマ四世王モンクット時代(1851―68年)の政治
1 四世王モンクットとその時代
2 政治に意欲を燃やす四世王
3 親政を目指す四世王──宸筆と上奏文
4 四世王と官僚たち──カンボジア情勢をめぐって
5 チャオプラヤー・シースリヤウォンの台頭と官僚たちの識見
おわりに
注
参考文献
あとがき
【著者】
川口洋史
名古屋大学大学院文学研究科東洋史学専門博士後期課程満期退学。博士(歴史学)。
現在、名古屋大学大学院文学研究科博士研究員。愛知大学、名古屋外国語大学非常勤講師。
主な論文に、「ラタナコーシン朝前期における文書処理システム」(『史林』89巻6号)、「ラタナコーシン朝四世王モンクット時代シャムにおける文書処理システムと王権」(『名古屋大学東洋史研究報告』34号)がある。(2014年現在)
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